この八女では「金可也」の愛称で、純米大吟醸可也が人気である。この商品は発売されて30数年が経つ。きっかけは福岡市のある酒販店の主導で、自分が手に入れた酒造好適米「雄町」で酒を造りたいと、糸島の可也山の麓で作付けが始まり、繁桝の高橋商店の蔵で醸され、紆余曲折を経て今に至る人気のお酒で、例年品薄な状態ではある。
もともと、酒造好適米の栽培は難しく、それを出来る方が減ってきているうえに後継者はもちろん不足。そんな問題を抱え始めて結構経つのだが、この雄町農家の頑張りでどうにかここまでやってきたのが現状である。それ故、人気のお酒であるにも関わらず、生産量を増やすことが出来ず、これを求めるお客に品切れを詫びるのが日常だった。
それが昨年。
その作り手のうちの二人が高齢を理由に廃業され、収穫する米の量の4割が消えてなくなった。ただでさえ品薄な商品なのに、例年の数量から4割も減らされることは、売り上げの面でも大きな打撃になっている。
そうなると販売先の優先順位を不本意だが付けなくてはならない。この商品を継続して販売して頂いてきた料飲店を第一に。その分を除いた数を店内の棚に並べていたのだが、今年になったそれが棚に並ぶことは無くなった。それどころか、その料飲店にさえ希望される本数をお届けできていない。それはうちの店だけの事ではなく、他のこれを販売する酒販店も例外ではない。だから、金可也を探している人からすれば、置いてある店を調べては電話をかけると言う行動につながる。そして、残念な結果しか待っていない。まして、そんな問い合わせをするのはうちにとっては一見客でしかなく、普段の取引のお得意様を差し置いてそちらに融通する必要はないと、申し訳ないがそう言う対応しかできない。それだけ商品がないのだ。
今年の雄町の田植えは終わっている。その量はどうなのかを聞けない。さらに減っているのではないかという恐れが先に来て。新たな雄町を作ってくれる農家の出現を期待するしかない。このままだとまさにプレミアがついた幻の酒となってしまう。
そうはなってほしくはない。
本当にそう思う。
写真は2019年。コロナ前の酒販店関係者も参加した田植えの模様。

2026-08-04 10:45:06
ここだけのお酒の話
| コメント(0)