相変わらず続いているウイスキー人気。特に国産のサントリーやニッカの商品は、定番の「角瓶」や「ブラックニッカ」にも影響が出ていて、販売に携わる身としては、1日も早く落ち着いてほしいと願っている。
そんな中。今、問題になっているのが偽ウイスキー。
この問題が出始めた頃は、主に「響」でした。空き瓶を手に入れて、中身に安いウイスキーを詰めて封をする。その封に使うフイルムが市販されていたので、騙す方からすると比較的手が出しやすかった。それで痛い目に遭った方も多かったようだ。そんな偽物を手にするのはフリマサイト。提示されている価格が相場より安いからと飛びつく人がいて、手にした品物を口にして、その味に仰天したようだ。
設定価格が相場より低いのが偽物を見破るコツだった。しかし、それも騙す方の厚かましさが勝れば、相場の価格を提示すればそれも見抜けなくなる。
ネット上では、そんなウイスキーの空瓶が流通している。そんな私も10年ほど前に一度オークションサイトに「響」の空瓶を出品したことがある。お得意様から回収してきた空瓶。小売店で処分することがこの業界の常。しかし、産廃品と化した空瓶を処理するためにはコストがかかる。それがかからずに売り上げになるなんて何と素晴らしい事かと、軽い気持ちで出品したところ、あっという間に1,500円の値が付いて落札された。それも3本。
それはそれで嬉しかったのだが、よくよく考えると落札のその先を考えると、あまり褒められた使い方をされないことくらい理解できた。
もうそれっきりで、うちでは空瓶たちは産廃品として処理されているが、それらの流通は未だ続いているようだ。
このワルサの収益を考えてみた。瓶代1,500円、中に入れるウイスキー800円、フイルム10円とする。そして「響ブレンダーズチョイス」の相場は15,000円程度とすると、手間を考えても10,000円の粗利は容易に出せる。うま味のある仕事ではある。出品者がなかなか特定できないことを考えると、購入者は泣き寝入りすることが多いのだろう。その怒りをどこにもぶつけられずに。
そして、中には本物と信じて購入した偽物を、何も知らずにまた出品して痛い目に遭ったと言う二次被害も良く耳にする。それが、最近は山崎や白州、竹鶴などのそれも出現していると言う。響のフイルムは透明だったのだが、他のウイスキーはフイルムに独特の色がついているのだが、そのハードルも乗り越えて偽物が流通しているようだ。
それらの商品を小売りしている身とすれば、そんな行為を見破る方法があれば広く教えたい。しかし、決定的な方法はないのではないか。敢えていくつか挙げるとすれば、ボトルキャップ、中に入っているウイスキーの色、安い価格、そして、オークションサイトやフリマサイトにある、過去の出品実績と評価が一定の物差しにはなると思う。初出品は特に警戒した方がいいのかと思う。結局、そんなサイトを利用しないことに尽きる。しかし、それが分かっていても欲しい気持ちが勝つことも心情的には理解できる。

ある後輩が、中洲の高級クラブで「響」を注文したそうだ。ボーイが持ってきたそれの封を開けると、「ポン」と言う音がせず、それを怪しんだ後輩はそのボーイを問い詰めたそうだ。どうもそのボーイは偽物だとは知らず、店側がそんなことに手を染めていたようだ。お客様を連れていたその後輩は烈火のごとく怒ったのは言うまでもない。
メーカーもその対策は考えているとは思うが、効果が表れているとは言えない。要は供給が需要を上回ればいい事なのだが・・・・。
2025-02-04 10:11:12
お酒の雑学
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