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衝撃のお客・・・その①

衝撃のお客・・・その①

 この仕事に就いてすでに40年以上が過ぎた。

 その当時は、酒屋での角打ち(俗に言う立ち飲み行為)がまだまだ盛んではあった。どこの店にも常連客が居て、仕事帰りには寄る店があって、そこで一杯ひっかけて家に帰ると言うルーティンを持つおやじたちが多くいた。基本的には仕事の帰り道にある店で、路肩に車を止めて入店。当然その車で帰ることになる。警察に止められりゃ当然飲酒運転で検挙となるが、飲ませる側も飲む側もそれに対しては、当然だが今ほどの大きな罪の意識はない。気軽に飲めてそしてリーズナブル。その当時なら、二級酒を一杯とつまみのさきいかで300円程度だったろうか。

 うちの店では、基本的にそれは断っていた。私一人の時もあったし、ほぼ例外なく話し相手を求めてくるこの手のお客がいやだった。

 ある日、身なりは普通の初老のおっちゃんが来店して、飲みたいから酒を注いでくれと言う。軽く断ると、「1杯だけだから」と言われて、仕方なくそれを受けると、驚くことが目の前で起こった。

 このおっちゃん。注文は二級酒の五勺(一合180mlの半分)と言って、それ用のコップ酒をに注ぐと、徐にポケットに手を入れて何かを取り出した。

 それは・・・。





 これをつまみにに二級酒を五勺飲む。うちに支払う金額は100円からおつりが出るほど。そして、ご多分に漏れず話しかけてくるのだが、その話題がとてもくだらない。私が知るはずもない自分の仕事先や近所の話題。相槌を打つのも億劫になる。結局一時間ほどいただろうか。そして、もちろんその食べかすは私が片付けることに当然なる。今度このおっちゃんが来たなら、きっぱりと断ろうと心に誓ったが、そのおっちゃんは二度と来なかった。

 つづく・・・。


  【頑固で偏屈な酒屋の一言】

 育毛剤や発毛剤の類を使って効果があった人を私は知らない! 

 



 

2024-11-30 08:50:28

酒屋の昔話   |  コメント(0)

 

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