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酒屋の昔話

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衝撃のお客・・・その②

 この方も「角打ち」希望のお客だった。

 私が一人で店番をしている時にこの方はやってきた。60代後半だと思われるこの方、一杯飲ませてくれと言う。もちろん私は断った。すると、前に来た時は飲ませてくれたと言う。どうも私の伯母が店番している時の事だろう。仕方なくその希望を受けて、注文の品を聞くと・・・・。

「焼酎五勺、お湯割りで。それと、醤油と皿と箸を」

と言う。

 この方は、豆腐の製造販売を生業にしているようだ。そして、毎日200丁売ってこないと奥様から叱責されるそうだ。その代わり、そのノルマを達成したなら、1丁は自由にしていいらしく、それを持って酒屋の角打ちに臨むのだろう。それがその日はうちの店だったようで、その注文をして、外に止めてある二輪のペダル付きの営業車の荷乗せからそれを1丁手にして戻って来る。それを私が用意した皿に盛って、私が用意した醤油をかけて、私が用意した箸で食する。

 これだけならまだ良い。

「生姜は無かろ?」

 と、薬味まで求めてきた。基本出店であったので、その手の食材は無い。あっても断っていたと思う。そしてお湯で割るための熱湯をと言う。これも通常は用意していない。だからわざわざ沸かすことになった。




 
 この方もご多分に漏れず話し好き。軽く一時間は居ただろうか。
 
 この頃の焼酎五勺の価格は50円だったと思う。

 この50円の売り上げを上げるために、私の時給を含めるとかかった経費は1,000円を超えたのではなかろうか。一時の国鉄並みの営業効率の悪さだった。

 私の愛想の悪さゆえなのか、それともノルマが達成できなくなったのか、それ以来この方は来店しなくなった。時代は、スーパーマーケットの隆盛を迎える頃。家を個別に回って豆腐だけを売る商売の終焉だったとは思う。

 しかし、これだけの厚かましさが私にあれば、もっと売り上げが上がっていたのではと最近思う。

 

2024-12-03 10:07:07

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衝撃のお客・・・その①

 この仕事に就いてすでに40年以上が過ぎた。

 その当時は、酒屋での角打ち(俗に言う立ち飲み行為)がまだまだ盛んではあった。どこの店にも常連客が居て、仕事帰りには寄る店があって、そこで一杯ひっかけて家に帰ると言うルーティンを持つおやじたちが多くいた。基本的には仕事の帰り道にある店で、路肩に車を止めて入店。当然その車で帰ることになる。警察に止められりゃ当然飲酒運転で検挙となるが、飲ませる側も飲む側もそれに対しては、当然だが今ほどの大きな罪の意識はない。気軽に飲めてそしてリーズナブル。その当時なら、二級酒を一杯とつまみのさきいかで300円程度だったろうか。

 うちの店では、基本的にそれは断っていた。私一人の時もあったし、ほぼ例外なく話し相手を求めてくるこの手のお客がいやだった。

 ある日、身なりは普通の初老のおっちゃんが来店して、飲みたいから酒を注いでくれと言う。軽く断ると、「1杯だけだから」と言われて、仕方なくそれを受けると、驚くことが目の前で起こった。

 このおっちゃん。注文は二級酒の五勺(一合180mlの半分)と言って、それ用のコップ酒をに注ぐと、徐にポケットに手を入れて何かを取り出した。

 それは・・・。





 これをつまみにに二級酒を五勺飲む。うちに支払う金額は100円からおつりが出るほど。そして、ご多分に漏れず話しかけてくるのだが、その話題がとてもくだらない。私が知るはずもない自分の仕事先や近所の話題。相槌を打つのも億劫になる。結局一時間ほどいただろうか。そして、もちろんその食べかすは私が片付けることに当然なる。今度このおっちゃんが来たなら、きっぱりと断ろうと心に誓ったが、そのおっちゃんは二度と来なかった。

 つづく・・・。


  【頑固で偏屈な酒屋の一言】

 育毛剤や発毛剤の類を使って効果があった人を私は知らない! 

 



 

2024-11-30 08:50:28

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