商いの話
うちの店では、国から販売を認められた「酒」「塩」「タバコ」を扱っている。しかし、「塩」はスーパーなんかで安売りされていて、また、いろんな特徴を持つ「塩」などの種類が増えて、うちの店で取り扱わなくなってしばらく経つ。そんな小売店がそうだから、JTが扱っていた食塩を中心に卸している塩問屋も厳しいとこぼされていた。そして、1997年に塩の専売制度が無くなって、塩を扱っていた昔ながらの小売店はほぼ無くなったのではないか。
一方、タバコはどうか。
これも扱わなくなってずいぶん経つ。元々利幅が10%程度しかないせいか、こちらの値段が崩れていることはないが、扱わなくなった理由ははっきりしている。
まず、ピーク時には成人の8割を越える人が喫煙していたそうだが、今ではそれが2割を越える程度らしい。だから単純に売り上げが下がっている。そして、タバコを扱うコンビニが増えたことによって、これまた売り上げが減る。とどめは「taspo」。誰もそんなカードを申請しないし、それなしでもコンビニに行けば買える。これが導入された頃には、うちのタバコの自販機は古くなって外したところだったが、まだ新しい自販機を設置している小売店は悲惨だったはず。カードをもって買いにくるお客などほぼいない。それに対抗するために、自販機にtaspoカードを下げているとお叱りを受けて撤去。自販機の代金も回収できないまま廃業する店もあったと聞く。
その頃は、外国のたばこメーカーやJTも、ある程度の売り上げがあるところには無償で自販機を提供していたのだが、それにしてもこの自販機での売り上げ減は想像以上だったに違いない。今ではタバコの自販機を見かけなくなった。これを作っているメーカーはどうしているだろう。
唯一残ったお酒。
安売りの波などの時代の流れは越えてきた。そして、タバコのように消費量が極端に減るとも今のところ考えにくい。御贔屓にしてくださる料飲店の方々もありがたいことにいらっしゃる。家業としてのこの店を今後も守る覚悟で日々精進していきます。
【頑固で偏屈な酒屋の一言】
喫煙も飲酒も納税だ。納税者を労わろう。
2024-10-23 12:18:34
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おそらくこの福岡八女でも梅雨が明けそうな気配がしています。梅雨が明けた先がビールの最需要期で、毎日の新聞のチラシには缶ビールの特価が躍っています。
この辺りのスーパーでは、350ml缶1ケースがおよそ税込み4,300円前後ではないでしょうか。チラシに期限のみの特価でしょうが、どうしてこんなに安くできるのでしょうか。どうして、うちに店にある同じ缶ビールと値段が違うのでしょうか。
うちでは、それを近場なら配達もしますし、熨斗掛け包装もします。掛け売りにも対応します。一方のスーパーでは、そのどれにも対応していません。そして何より、その商品に与えられた性格が大きく違います。スーパーにおけるビール(ウイスキーや焼酎なども)の役割は、一般家庭で需要のある缶ビールの価格を、利益率を度外視して安く付けることで来店を促す役目があります。たとえこれで利益を得なくても、その数百倍はある他の商品で利益を取れるからです。
仮に、スーパーが酒類を扱わないとするならば、来店客と言うのは激減するはずです。それほどの商材という事になります。そして、メーカーもその売り場の確保に躍起になって、うちなんかの小売店には絶対来ない「販売奨励金」的な条件が出ています。その応酬で、スーパーも仕入れ価格で販売した粗利に多少利益が上乗せされます。
スーパーで酒のディスカウント販売が盛んになり始めた頃、多くの消費者はスーパーに入る価格とうちに入る価格が同じで、いかにも暴利をむさぼっていると思われていました。そんなことはありません。今でもそうですが、通常の取引で卸店から仕入れる価格より、特売で出されている缶ビールの方が安いのです。ですから、自分の店で売るために、スーパーに缶ビールを仕入れに行く酒販店もありました。うちの場合はそれには当てはまりませんでしたが、そんな現状が今もあります。
ですから、一般小売店は40年ほど前からすると1/3程度になっているのではないでしょうか。卸店も倒産・廃業、それ以外は大手に吸収されてその数も随分減りました。
うちの店も缶ビールは数種類置いてはいますが、家庭用の需要ではなく業務用の需要がほとんどです。
と言うことで、スーパーの価格はお客を呼ぶための商材として、薄利で価格を設定しているから・・・と言うことでよろしいですか?
2024-07-17 17:06:30
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私はお酒に詳しくないからと言って、「どれが美味しいですか?」と聞かれることが良くあります。お酒が好きな方への贈り物を選びにご来店されたのでしょう。
それだけを聞いて「これがオススメです!」と的確なセレクトをするほどの特技を、私は持ち得ていない。私がこの仕事に携わり始めた頃、ある蔵元の営業の方が、「日本酒で辛口をと言われればこれを勧めるし、甘口と言われればこれを勧める。そしてそれは同じ酒」と、ある酒販店のことを話された。その時は笑ったが、そんないい加減な対応はきついなと思った。
例えば、焼酎を贈りたいという希望なら、まず予算を聞いて種類を聞いてと進むのですが、予算を聞くと戸惑われる方も多いようです。財布の中身を探られているような気がするのでしょうか。たまに「いくらでもいいです」なんて言いながら、5,000円ほどの商品を勧めると「そんな高くなくていい」なんて返ってきます。
(それを聞きたいのです・・・)
なんて言葉はぐっと飲みこんで、芋、麦、米などの種類を聞くと、「焼酎」だと返って来る。その焼酎のことを聞いているのだけれど、「美味しいやつをお願いします」と仰る。
これが困る。
そもそも、、美味しくない焼酎は売っていないし、造り手も美味しいと思って世に出しているはず。更には、飲む方の好みで「美味しい」という評価は分かれる。極端に言えば、黒霧島などの芋焼酎の香り好きだと言う方もいれば、それが嫌いだから麦焼酎を飲むと言う方もいる。
そんな時にはどう対応するかと言えば、焼酎の中で一番売れている芋焼酎を選ばざるを得ない。そして、価格もそれなりの商品を。ある程度高額になると同じ芋焼酎でも、柔らかくて甘い芋の香りが心地良い商品がある。それを勧める。仮に麦派でも米派でもこれなら抵抗がなく飲んで頂けると思うから。
こんな場合、店主に・・・特に頑固な店主が居る店ではどう言ったらいいのか。
「焼酎好きな方に贈りたいのですが、何が好みか分かりません。5,000円程度の予算で、小さいボトルを2本見繕ってください。店主にお任せします。先様がきっと喜ぶであろうおススメの商品をお願いします」
・・・・そう言われると、こちらも酒屋のプライドをかけてお選び致します。そして、うちの店のラッピング娘に指令を出して、無料でリボン付きのラッピングを施させていただきます。
こんなこと言うから、また、来店客を減らしたかもしれない・・・・。
2024-07-08 15:37:37
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ただいま梅雨の真っ最中ですが、もうお中元商戦は動きだしています。
こんな時期に必ず目にする「全国宅配無料」というコピー。以前ほどそれを謳うチラシは少なくなりましたが、たまに見かけることがあります。うちが扱っているシャディサラダ館のカタログでは、「持ち帰り価格」と「宅配価格」、「送料込み」と分けられています。
「全国どこまで送っても送料無料なんてお得だわ」
そんな声が聞こえてくるこのサービス。
当事者が言うのも少々抵抗がありますが、これは【送料という名目で料金は頂きません】という意味です。日本中の宅配業者に尋ねても、無料で配達してくれる業者などいるはずもありません。ここ八女市から北海道に送る時、当然料金はかかります。それを購入者から頂かない理由は・・・・。
ざっくり言いますと、その料金が800円かかるとした場合、その分を購入者から頂かないならば、店側でその負担をしなければなりません。3,000円の商品を考えれば、この売上3,000円の中から送料を捻出しなければなりません。一概に言えませんが、送料800円を負担して店の利益を確保するためには、この商品の仕入れ代金は上代の55%以下でなければなりません。そうでなければその負担は出来ないということです。
さらには、〇割引きで全国宅配無料という商品となれば、商品の原価率がさらに低くなるという事で、その品質は推して知るべしです。
産地直送品もそうです。送料無料を謳っていますが、送料は商品代金に含まれています、例外なく。送料と言う名目で代金を頂かないだけのことです。
ですから、そのキャッチコピーだけにとらわれずに、価格と中身が釣り合っているのかを確かめることが重要だと思います。当店で取り扱っているお酒などは、そんな利益率がありませんから、当然正規の送料を頂かないと対応できないのです。
そして、インターネットでお酒を売っている店舗。YAHOOとamazonを比べると、YAHOOでは、まだ送料を商品代に上乗せして購入者に請求できますが、amazonの場合、プライム会員は基本送料無料。となると、送料名目で代金を請求できないから、商品代の中にそれを含ませています。ですから、同じ業者の同じ商品でも、YAHOOとamazonで表示価格が違うのはこんな理由があります。
うちの店のウイスキーコーナーで、スマホ片手に価格を比較しているあなた。
送料まで考えて判断するべきですよ。
商品代がインターネットショップよりうちの店が安いとは言いませんが、送料を考えると充分魅力的な価格を提示していると思います。
2024-07-04 12:06:58
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毎度お世話になっております。福岡県八女市で酒販店を営んでいる頑固で正直な店主です。人は、それに「偏屈」も付け加えろと言いますが、気にはしていません。YahooにもHPがありますが、いろいろと制約もありここに改めてHPを開設しました。ネット上でも実店舗でも御贔屓をお願いいたします。
当店は、私の祖父が戦前に創業して今に至ります。その当時は、魚や野菜も扱っていて、その流れで鉢盛の注文を承っていました。たばこ・塩、日用品なども扱う今でいうミニスーパーやコンビニのようなものでしょうか。その後、私の代になって40年以上経ちます。その間、ギフトショップのサラダ館(九州で3番目、福岡県で最初)をオープンしたり、ホームセンターにテナントとして出店したり、お酒のディスカウント店のような売り方をしたり。紆余曲折を経て現在の店舗に落ち着いて25年ほどになります。
現在は、地元の料飲店への商品納入や、店舗での販売に力を入れています。コンビニやスーパー等の品揃えとは異なりますが、頑固な酒屋が揃えた、日本酒、焼酎、ウイスキーなどが並んでいます。地元の蔵が造る日本酒はもちろん、最近はウイスキーの品揃えに力を入れています。
SNSなどで情報を発信していますが(トップページの一番下にリンクがあります)、このHPを一番の発信源としたいと思っております。このブログも随時更新しているつもりでおります。どうか、末永くお付き合いください。
頑固な店主
2024-05-15 12:25:47
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